FILE NO 289 宮崎と周辺の植物
ミヤマトベラ Euchresta japonica Hook.fil.ex Regel
深山扉 マメ科
撮影日 2015.6.21
撮影場所 宮崎市

 
茨城県以西の太平洋側地域、四国、九州と朝鮮半島済州島、中国広東省辺りに分布するという常緑小低木で、国内では絶滅危惧種となっている県も少なくない。
 宮崎では深山とは関係なく薄暗い杉や照葉樹の林内に珍しくはないが、何処ででも見かけるほどありふれた種でも無い。
 生薬「山豆根」、平賀源内もその著「物類品しつ」に果実はマメのごとく、根は牡丹のごとしと記載しているが、干した根は煎じて扁桃炎のうがいに効能があるという。葉の形や果実の特徴から迷うことはない。
画像1 照葉樹の林縁傾斜地、林下の草と勘違いしそうな樹形
画像2 高さ4~5cmほどの総状花序を葉腋から伸ばして白というより
       ややクリーム色がかった蝶形花を開く。 撮影:(2003.7.6  綾町)
 画像3 樹は普通高さ30~40cm、枝を疎らに出して三出複葉を広げる。
   ここはかなり年数の経った杉林で、周囲はシダやアオキ等の
     小低木が生えて薄暗い。5~m横の低地には小さな谷がある。
撮影:(2014.1.24  山之口町)
 
画像4 花の大きさは、花柄5ミリ、ガク高3ミリ、舟弁8ミリほどの長さで、高坏状のガクは不必要に大きく見える。 撮影:(2015.6.22  宮崎市) 画像5 ガクは果柄同様に伏短毛が密生し、先は不定ながら浅く切れ込む。花序の軸にも同じような短毛が密生する。 撮影:(2015.6.22  宮崎市)
画像6 葉腋から伸びた花序の全形。薄暗い林内の足元にひっそりと咲いて
        まさに日陰の花、身を屈めて観察すると葉も花も間違いなくマメ科だ。
撮影:(2015.6.22  宮崎市)
 
画像7 三出複葉の葉は基部が丸くなることを除けば、色も雰囲気もトベラの
       葉に良く似ており、特徴ある葉からの連想で和名は記憶に残りやすい。
撮影:(2015.6.22  宮崎市)
 
 
 画像8 葉上は無毛全縁、濃い緑色で大きさの変化は大きいが頂小葉は柄の長さ約2cm、葉身が長さ10cmほどで、側脈は4~5個で目立たない。
撮影:(2015.6.22  宮崎市)
   画像9 葉は頂子葉が最大で側子葉に比べて長さも長い。小葉の先端を子細に見ると僅か突き出ているが、葉縁がやや葉裏側に反るので目立たない。 撮影:(2015.6.22  宮崎市)
画像10 葉の下面。上面の深緑色と違いやや緑白色気味、下面全体が浅く窪んでいる。 
撮影:(2015.6.22  宮崎市)
画像11 葉の下面拡大画像。全体に縮れたような白っぽい伏短毛が密生している。
撮影:(2015.6.22  宮崎市)
 
 画像12 互生する葉の葉柄基部は僅か膨らんで浅い溝がリング状に重なって濃い帯のようになる。 撮影:(2015.6.22  宮崎市)   画像13 幹は柔らかい感じで緑色、皮目が多く散らばって葉痕が目立って残る。 撮影:(2015.6.22  宮崎市) 
 
画像14 開花後半年近くかかって熟す果実は少数で、緑色の葉の間にパラパラと見える程度。
撮影:(2005.1.10  宮崎市)
  
  画像15 成熟した豆果は鮮やかな黒紫色の整った楕円形で長さ1.5cm、長さ1.5ほどの柄の先につく。 撮影:(2014.1.24  山之口町)  
 
画像16 地中で横に這った茎と根を含めた画像で、上方の葉は見えないが全体で高さ約50.cmほど。 撮影:(2015.6.22  山之口町)    画像17 画像16の根の拡大画像。見やすいように杉の枯枝の上に置いたもの。大きさは差し渡し2.5cm。撮影:(2015.6.22  山之口町) 
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